1989年頃に、500円という価格で発売され、極太のラバーグリップが印象的な ZOOM 404。その形状から、ZOOM「キャロット」という愛称がついた。シャープペンシルでは、シリーズ唯一0.7mmをラインナップに持っていた。現在は販売終了。しかし、この形状は、 Field Workerに受け継がれている。

1986(昭和61)年3月の発売（当時のモノマガジンに掲載されていた広告によると）から、現在もロングセールスを続けているのが、ZOOM 505シリーズである。
海外展開の際、その葉巻の様な形状から原産地で有名な "Havanna" という愛称が付けられた。それが今では、DESIGN COLLECTIONを代表する独立したブランド名として定着している。
Industrie Forum Design Hannover Awards(現:reddotaward/1990年)、Haus Industrieform Essenを 受賞している。

ZOOM 505bw と同時期（もしくは、それより少し早く）に発売されていたのが、ZOOM 606sh である。 厚さ 2.7mm の極薄シャープペンシルが、同型のボールペン 606bc より先に発売されているところが、興味深い。636eh は、手帳のスケジュールなど細かい部分を消すのに重宝し、比較的に人気があったようである。
販売当時には、購入時のおまけとして、バイブルサイズのシステム手帳で使える、ZOOM 600 シリーズが収まるフォルダーが付いていた。

1987(昭和62)年に登場したのが、ZOOM 707。か細いくらいにスリムなボディに、握りやすさを失わないぎりぎりの太さを維持したラバーグリップ、印象的なクリップ・ポイント。ZOOM シリーズを一躍有名にしたのも、この製品ではないかと思う。特に、ヨーロッパでの評価は高く、DESIGN PLUS(1989年)、Designe Center Stuttgart(1990年) を受賞している。

国内で販売されたパッケージは、カンペンケースではなく、外観がわかる透明のケースが使用されており、ロゴの配置が異なる２種類がある。

1987(昭和62)年9月に登場したのが、タマゴ型の水性ボールペン。ずんぐりした形がユーモラスだが、使ってみると意外と握りやすい。
現在は日本国内で販売はされていないが、一部のモデルは海外で販売されている。
ZOOM 858bwは、Haus Industrieform Essen を受賞している。

シリーズの中で高級感が漂うのが、ZOOM Classic シリーズ。505シリーズを格調高くした印象を受ける。

スペイン・バレンシアに本拠地をもつデザイン・ファクトリー "LA NAVE" のデザインによるシリーズ。 日本のZOOM シリーズ（400、500、600、700、800、900番）とは違う、新鮮な印象を受ける。
トンボ鉛筆側が、LA NAVE にデザインを依頼したのではなく、LA NAVE 側から、いくつかのデザインをトンボ鉛筆に提出し、製品化をお願いした、というのが、このシリーズが生まれた理由である。
思うに、当時、ヨーロッパで展開されていた ZOOM 製品、おそらく、ZOOM 707に感化されたのだろう。 それだけ、彼らの目にも、日本のZOOMのデザインは新鮮だったのだと思う。
製品化された OCEANIC、TITAN、ESPANA、MANO の４種類は、ファクトリーの主要メンバーである Luis Gonzalez (ルイス・ゴンザレス)と Daniel Nebot (ダニエル・ナボット)の２人によるものである。
日本国内では、１００店限定の販売だったようである。
他のZOOMシリーズ同様、日本国内だけなく、海外でも人気があった。

魚をデザインした紡錘形のボディが印象的な、"ZOOM OCEANIC"。 ボディ中央部のロゴや、その形から、別名"Fish"と呼ばれていた。 ペンのバランスもよく、握りやすい。デザイン的にも機能的にも秀逸な製品と言える。
デザイン：Daniel Nebot (ダニエル・ナボット)
DESIGN PLUS 受賞
1991(平成3)年7月頃に発売。

宇宙船をテーマにデザインされたのが、V472 である。 宇宙人をモチーフにしたロゴと、X星人からのメッセージとして宇宙語をロゴタイプ化されている。 別名 "ZOOM TITAN" と呼ばれている。また、発表当時は、「スペースシップ」として紹介されていた。TITANとは、土星最大の衛星の名前であるが、別名の由来などは不明。
デザイン：Daniel Nebot (ダニエル・ナボット)
DESIGN PLUS 受賞
1991(平成3)年7月頃に発売。

"ESPANA"(正しくは'N' の上に '~' が付く)とは、スペイン語で「スペイン」のこと。つまり、国の名前が付けられている。
全体は「麦の穂」をデザイン化している。麦は、スペインでは日本のお米に相当するポピュラーな穀物である。
デザイン：Luis Gonzalez (ルイス・ゴンザレス)
Industrie Forum Design Hannover award（iF賞）、Design Auswahl 94 Design Center Stuttgart を受賞している。
1991(平成3)年7月頃に発売。

"MANO" とは、スペイン語で「手」を意味する。中指、人差し指、親指の付け根がフィットするように「くびれ」がある。しかも、左利きの人も大丈夫なように、左右対象となっている。 ボールペン芯をシャープペンシル芯に入れ替えて使用可能。
デザイン：Luis Gonzalez (ルイス・ゴンザレス)
1991(平成3)年11月頃に発売。

ZOOM Classic シリーズの上位モデルとも言える、高級モデル。
ISOT 2003 の会場以外で、お目にかかったことがない。

2023年にZOOMシリーズをリブランディング（ブランドの再構築）をして、新たな製品として発売。
2023年時点、取扱店舗は限定されている。